TOPICS006:「サヴィニャックとデザイン史の本棚」の設置 12.04.2018 ※6月18日 最終更新

サヴィニャックデザイン史の本棚

本サイトのトピックスで取り上げた書誌に加えて、展覧会の準備や図録制作で参照し、サヴィニャックとデザイン史を知るうえで役立つものを、一言コメント(*)付きで随時追加いたします。(6月18日 最終更新
基本的には、図書館、美術館、書店やオンラインで入手・閲覧可能な文献を中心としています。

●サヴィニャック関連

[カタログ・レゾネに匹敵する刊行物]

Anne-Claude Lelieur, Raymond Bachollet, Savignac affichiste, Bibliothèque Forney, Paris, 2001
*サヴィニャック存命中、最後の大回顧展となった「フォルネーのサヴィニャック」展[2001年9月11日(火)~2002年1月12日(土):於パリ市フォルネー図書館]の図録。全556ページのハード・カヴァー、ISBN番号入りの充実した書籍(洋書)で、サヴィニャックの業績について、これほど詳しい刊行物は他に類例がありません。スケッチや原画、ポスターとそのヴァリエーションなど、収録される作品点数・種類においてもずば抜けているため、現時点での「カタログ・レゾネに匹敵する刊行物」として、このコーナーの筆頭で挙げることにしました。
章立ては、サヴィニャックの生涯・活動紹介に始まり、「最初期の仕事」ほか26のテーマに分類した作品図版とそのデータ、年譜、展覧会、サヴィニャックによる他の刊行物のテキスト抜粋、テーマ別の索引、文献と続きます。ファンにも研究者にも必携の1冊、として良いでしょう。
*同書の中身は、pp.62-63p.202部分p.255 部分 ・pp.408-409・ pp.454-455 ・p.490部分を画像で紹介しています。

[書籍]

 

(左)レイモン・サヴィニャック著, 橋本順一 訳 『レイモン・サヴィニャック自伝』 TOブックス, 2007年
(右)レイモン・サヴィニャック著, ティエリ・ドゥヴァンク編, 谷川かおる 訳 『ビジュアル版 レイモン・サヴィニャック自伝』 小学館, 2018年
*幼少期に始まり、1960年代までを綴った半生記。日記調、回顧録、エッセイ風など、章によって記述が異なるところが面白く、サヴィニャックの人間味と、パリの街の活き活きとした描写に触れることができます。原著は下記で、日本語訳は2種類あります(左・右)。
Raymond Savignac, Savignac affichiste, Robert Laffont, Paris, 1975
(左)2007年版の特徴は、まず手頃な体裁(H192×W138×D30mm、ハード・カヴァー)で、このサイズ感、平易な1段組・縦書きのレイアウトが訳文の調子と合致し、散見にも熟読にも適しています。作家の生の声を伝えながら、軽過ぎない訳文には品位が感じられ、精査された図版・訳注とのバランスも良し。編集協力者として挙げられるティエリー・ドゥヴァンク氏(パリ市フォルネー図書館学芸員。サヴィニャック研究の第一人者・本展監修者)による「晩年のサヴィニャック」に関するエピローグの章は、情報ソースとしてのみならず、自伝の締め括りにふさわしい内容です。
(右)2018年版の特徴は、「ビジュアル版」と銘打たれる通り、何よりも図版の豊富さ、これに適する大判の体裁(H260×W182×D22mm、ソフト・カヴァー)。このサイズで2段組・縦書きは、紙質とも相まって、少し読みにくい印象ですが、「ムック本」と捉えるならば問題なく、訳文の調子や訳注の内容も同様と言えます。完全に「今風」な訳文は、読者の好みが二分されるのではないでしょうか。ドゥヴァンク氏の関わり方がいっそう深く、原著(1975年)・旧訳(2007年)から年代を経ているため、情報は最新のものに更新されています。

 

レイモン・サヴィニャック著, 小柳 帝 日本語版監修 『サヴィニャック ポスター A-Z』 アノニマ・スタジオ, 2007年
*サヴィニャック晩年の著作で、自身の精選作品にAからZで始まるキーワードを付し、軽妙な短文を添えた画文集。絵柄に直接関係する内容、まったく異なる観点のコメント、言葉遊びその他、読書家で文章も洒脱なサヴィニャックに触れることができます。
*アラン・ヴェイユ(ポスター史家)による作家紹介に加えて、日本語版には訳者のエッセイを追加。原著は下記となります。
Raymond Savignac, Alain Weill, Savignac: L’affiche de A à Z, Hoëbeke, Paris, 1987

ティエリー・ドゥヴァンク 著, 藤原あき 訳 『レイモン・サヴィニャック:フランス ポスターデザインの巨匠』 ピエ・ブックス, 2006年
*序文に始まり、1930年代・1940年代・1950年代・1960年代・1970年代・1980年代・1990年代~2000年代と編年的に組み立てた各章のなかに、多くの作品画像を散りばめ、作品解説とエピソードも織り込んだ充実の内容。巻末にはサヴィニャックの略年譜、掲載作品のデータ一覧が付されています。ティエリー・ドゥヴァンク氏(パリ市フォルネー図書館学芸員。サヴィニャック研究の第一人者・本展監修者)の執筆によりますが、フランス語版はありません(本書が原著)。

山下純弘 著 『Raymond Savignac:AFFICHISTE』 ギィ アンティック ギャラリー, 2006年
*サヴィニャック作品のコレクターとして知られる著者の所蔵品52点で構成。序文に始まり、作品画像・データと解説、巻頭にサヴィニャックの略年譜、巻末には国内外で開催された主なサヴィニャック展の一覧が付されています。

 

矢萩喜從郎 編 『レイモン・サヴィニャック』(『世界のグラフィックデザイン』 97巻) ギンザ・グラフィック・ギャラリー, 2011年
*ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催された「レイモン・サヴィニャック展―41歳、“牛乳石鹸モンサヴォン”のポスターで生まれた巨匠」[2011年6月6日(月)~6月28日(火)]の出品作57点で構成。テキストは、編集・デザインを手がけた矢萩喜從郎(グラフィック・デザイナー)が寄稿し、巻末にはサヴィニャックの略年譜、掲載作品のデータ一覧が付されています。

[展覧会図録


『フランスのユーモアとエスプリ サヴィニャック ポスター展』 西武美術館, 1989年
*会期・会場:1989年4月28日(金)~5月9日(火), 有楽町アート・フォーラム
*サヴィニャック作品34点(すべてポスター)による個展。
*図録テキストは、アラン・ヴェイユ(ポスター史家)、亀倉雄策(グラフィック・デザイナー)、坂根 進(アート・ディレクター)の三氏が寄稿。
*亀倉雄策のエッセイをお読みになりたい場合、下記「デザイン史関連」で挙げた『亀倉雄策の直言飛行』(2012年)にも収録されています。

Raymond Savignac, Marc Lecarpentier (preface), Savignac – Projets et maquettes d’affiches, Galerie Marine Gossieaux, Paris, 1993
*会期・会場:1993年9月18日(土)~11月30日(火), パリ、ギャルリー・マルティーヌ・ゴッシオー
*同名の個展(サヴィニャック:ポスターのためのスケッチと原画)に際して刊行された限定700部の図録(ポートフォリオ)で、過去のポスターと、これらに基づく再制作のデザイン画を対比させる、という内容。
*序文は、マルク・ルカルパンティエ(アート・ディレクター/編集者)による。
*今回(2018年)の展覧会に出品されている「再制作のデザイン画」は、この図録のための描き下しです。かなり以前に完成されたイメージを、作家自身が改めてグリッド上に描き起こす、という試みが興味深く、その分析は、次世代のデザイナーや研究者の糧となります。作品画像については、以下を参照。
《牛乳石鹸モンサヴォン》《ウット毛糸》《ルノー4》

『レイモン・サヴィニャック―パリの空のポスター描き』 サントリーミュージアム[天保山]+産経新聞社, 2005年
*会期・会場:2005年4月29日(金)~7月3日(日), サントリーミュージアム[天保山]|2006年9月16日(土)~11月5日(日), 川崎市市民ミュージアム
*サヴィニャック作品146点(ポスター、デザイン原画、絵画)による個展。
*エッセイ・論文に相当する図録テキストは一切なく、村上美香(コピー・ライター)による解説、サヴィニャックとアラン・ヴェイユ(ポスター史家)の共著『サヴィニャック:ポスターA to Z』の全訳で構成。

 

『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法展』 練馬区立美術館+宇都宮美術館+三重県立美術館+兵庫県立美術館+広島県立美術館, 2018年
*本展の公式図録です。
*目次はこちらをご覧ください。
*改訂表はこちらをご覧ください。(03.07.2018更新)
宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、通信販売・全国配送いたします。詳しくは、下記までお問合せください。
ショップ直通TEL.028-666-8585
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●デザイン史関連

[書籍

Walter Heinz Allner, Posters, Reinhold Publishing, New York, 1951
*作家に焦点を当て、筆者であるアルナー以下、氏名のABC順に、51の個人・ユニットの仕事を作家自身の言葉と精選された図版で取り上げています。サヴィニャックは5点の作品画像(全4ページ)、ロベール・ドアノーによる写真《チェスをするサヴィニャック》、自身のテキストで紹介。
*作家の出身国・地域で見ると、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、オーストリア、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ルーマニア、オランダ、デンマーク、スウェーデン、アメリカ、プエルトリコ、日本と幅広く、しかも活動の場を世界に置く人々を多数選出。ちなみにアルナー自身も、ドイツのデッサウに生まれ、バウハウス・デッサウで学んだのち、パリに出てジャン・カルリュのアシスタントとなり、フランス、スイスを経て、アメリカに本拠を移した国際派です。ドイツ=スイス派の構成的なスタイル、アメリカ的な手法をあわせ持ち、編集者としての経験を踏まえて、執筆にも長じました。
*1940年代後半~1950年頃のポスターの動向、作家のアプローチや思想をリアルに知るうえで、必携の一冊、として良いでしょう。

 

(左)北原義雄・アトリヱ社 編 『現代商業美術全集』 第二巻 「実用ポスター圖案集」 アルス, 1928年
(右)ゆまに書房 編 『現代商業美術全集 ゆまに書房版』 第2巻「実用ポスター図案集」 ゆまに書房, 2001年(アルス, 1928年の復刻)
*1928~1930年に刊行された『現代商業美術全集』(全24巻)は、欧米におけるコミュニケーション・デザインの歴史・理論・実践・最新状況を伝えるとともに、わが国での応用と展開、日本人作家の仕事もヴィジュアルに解説する当時の優れた「事典的教科書」です。
*全24巻の内容は――
第1巻「世界各国ポスター集」, 第2巻「実用ポスター図案集」(本書), 第3巻「世界模範ショーウィンドー集」, 第4巻「各種ショーウィンドー装置集」, 第5巻「各種ショーウィンドー背景集」, 第6巻「世界各国看板集」, 第7巻「実用看板意匠集」, 第8巻「電気応用広告集」, 第9巻「店頭店内設備集」, 第10巻「売出し該当装飾集」, 第11巻「出品陳列装飾集」, 第12巻「包紙・容器意匠図案集」, 第13巻「新聞雑誌広告作例集」, 第14巻「写真及漫画応用広告集」, 第15巻「実用図案文字集」, 第16巻「実用カット図案集」, 第17巻「文字の配列と文案集」, 第18巻「チラシ・レッテル図案集」, 第19巻「新案商標・モノグラム集」, 第20巻「小印刷物及型物図案集」, 第21巻「カタログ・パンフレット表紙図案集」, 第22巻「日本趣味広告物集」, 第23巻「最新傾向広告集」, 第24巻「商業美術総論」
復刻版には――
別巻「解説・月報・総目次・著者名作品ほか」
が付されています。
*連載記事「巨大ポスターをめぐって その①」で紹介した「巴里に於けるポスター掲出の情景」は、本書に収録。

商業デザイン全集編集委員会 編 『商業デザイン全集』 第5巻「作家篇」 ダヴィッド社, 1952年
*1951~53年に刊行された『商業デザイン全集』(全5巻)は、上記の『現代商業美術全集』(1928~30年)に似ていますが、網羅する内容を、より同時代的な視点でコンパクトに再編した「実用グラフィック・デザイン事典」として良いでしょう。
*全5巻の内容は――
第1巻「入門篇」, 第2巻「PR篇」, 第3巻「商品篇」, 第4巻「商店篇」, 第5巻「作家篇」(本書)
*サヴィニャックは、9点の作品画像(全3ページ、うち1ページはカラー)、ロベール・ドアノーによる顔写真、河野鷹思(グラフィック・デザイナー)の解説で紹介。
*1950年代は、グラフィック・デザインの理論・技法、世界の動向・作家をテーマとする和書が次々と刊行されました。これには、1951年に「日本宣伝美術会」(日宣美)の設立が大きな契機となっています。

 

マダム・マサコ著 『巴里案内』 講談社, 1957年
*戦後日本の服飾評論では草分けのマダム・マサコ(1916年生まれ。本名:松野正子/滝 正子)によるエッセイ集。筆者が留学した1950年代前半のパリの様子を、モード、美術、暮らしなどの観点から綴る内容で、見返し・裏見返しに、レイモン・サヴィニャックの《雑誌『ヴォーグ』のための「1951年、パリ誕生2000年記念」イラストレーション》(1951年)が掲載されています。
*この絵柄が、本展出品作品のポスター《1951年、パリ誕生2000年記念》(1951年)のヴァリエーションである点に注目。

勝見 勝 編 『世界の商業デザイナー80』 ダヴィッド社, 1958年
*作家に焦点を当て、「近代グラフィック・デザイナーの登場」と題されたテキスト以下、フランス、イギリス、スイス、ドイツ、イタリア、スウェーデン/オランダ/スペイン/ベルギー/デンマーク、アメリカ、日本の順に、80の個人・グループの仕事を豊富な図版で取り上げています。サヴィニャックは17点の作品画像(全3ページ、うち1点は巻頭カラー)、《コリー紙巻タバコ:旨いブレンド》を前にしたプロフィール写真、勝見 勝(デザイン評論家)の解説で紹介。

 

京都国立近代美術館 編 『フランスのポスター美術』 講談社, 1979年
*1978~79年に開催された「ヨーロッパのポスター:その源流から現代まで」展(京都国立近代美術館・東京国立近代美術館)の図録を書籍化したもので、二つの図録テキストに加えて、西脇友一(大阪芸術大学教授/グラフィック・デザイナー)、小倉忠夫(京都国立近代美術館学芸課長)による書き下ろしのエッセイも寄せられています。
*内容詳細は、図録の紹介欄をご覧ください。

 

Alain Weill, Marilyn Myatt (English translation), The Poster, G. K. Hall, Boston, 1985
*ポスターの始まり(近世)から1980年代までの世界ポスター史を綴る内容で、サヴィニャックは「1945~70年の諸相」の冒頭で紹介。フランス語の原著は下記となります。
Alan Weill, L’Affiche dans le monde, Editions Aimery Somogy, Paris, 1984

アラン・ヴェイユ著, 竹内次男 訳 『ポスターの歴史』 白水社, 1994年
*サヴィニャックを含む「フランスのポスター史」を学ぶための良き入門書。原著は下記となります。
Alan Weill, L’Affiche française, Presses Universitaires de France, Paris, 1982

フィリップ・B. メッグズ著, 藤田治彦 日本語版監修 『グラフィック・デザイン全史』 淡交社, 1996年
*先史時代まで遡って「視覚伝達」の歴史を編年的に論じる内容。全25章のうち、最初の14章が近世以前に充てられ、モダン・デザインは残る11章(1980年代まで網羅)。原著は下記となります。
Philip B. Meggs, A History of Graphic Design, second edition, Van Nostrand Reinhold, New York, 1992

 

亀倉雄策 『亀倉雄策の直言飛行』 六耀社, 2012年(新装版)
*上記「サヴィニャック関連」で挙げた展覧会図録『フランスのユーモアとエスプリ サヴィニャック ポスター展』(1989年)のために書かれた「サヴィニャックはフランスの文化である」を所収。同時代の他のデザイナー、デザインと芸術・文化に関する読みやすいエッセイ集です。

勝井三雄, 田中一光, 向井周太郎 監修, 伊東順二, 柏木 博 編集 『最新版 現代デザイン事典』 平凡社, 2017年
*1986年以来、「年度ごと」に刊行されてきた『現代デザイン事典』を総集し、デザインの基礎・歴史に関する内容と、さまざまなデザイン領域の最新状況を織り交ぜて構成。グラフィックはもちろんのこと、変転する領域別の有り様、新分野、これらを支える日進月歩の技術や産業もカヴァーしています。

[定期刊行物]

GRAPHIS, Vol.19 No.109, Amstutz & Herdeg Graphis Press, Zurich, 1963
*スイス発の隔月刊・国際グラフィック・デザイン雑誌。英・独・仏の三か国語併記で発売、かつては東光堂書店の扱いで、日本語解説入りも刊行されました。1986年の媒体転売後、暫くしてアメリカのニューヨークに本拠が移され、今日に至っています。
*「ヘンリー・ヴォルフ:雑誌アート・ディレクター・デザイナー」「“デザイン・アート ディレクション63” 第一回展」「サヴィニャックのポスター」「ロナルド・サール」「宇野亜喜良」「公共機関のグラフィック・アート」「チューリッヒ:スイス年のグラフィック・イメージ」「ウィンザー・ニュートン画材会社のデザイン方針」「フランシス・ドランサール」「活字による実験的デザイン」という内容の本号のなかで、サヴィニャックは31点の作品画像(全10ページ)、顔写真、自身のテキストで紹介。
*本号の表紙も、サヴィニャックの描き下ろしイラストレーションによります。


 

『みづゑ』 637号, 美術出版社, 1958年
*巻頭連載「ナンセンス作家その3:レイモン・サヴィニャック」
*この特集でサヴィニャックは、「ショッキングな効果」と「漫画的な手法」を多用した作家とされ、21点の作品画像(全11ページ)、中原佑介(美術評論家)のテキストで紹介。ちなみに中原の論調は、ポスター・デザイナーの仕事全般を含めて、かなり辛辣です。


『アイデア』 第45巻・第6号(通巻265号), 誠文堂新光社, 1997年
*特集「ユーモア表現の変遷:アナログデザインの真骨頂」
*この特集のなかでサヴィニャックは、「ヴィジュアル・スキャンダルの元祖」と位置付けられ、15点の作品画像(全5ページ)、アラン・ヴェイユ(ポスター史家)の解説で紹介。サヴィニャック以外では、国・地域(フランス、ロシア、ドイツ、日本)、デザイナー(ヘルベルト・ロイピン、ヘンリク・トマシェフスキー、ポール・ランド、ソール・バス、プッシュピン・スタジオ、グラピュス、ジェームズ・ヴィクトル)、テーマ(動物によるユーモア表現[擬人化]、キャラクターによるユーモア表現、ブラック・ユーモア、シンプルな暗示、写真を使ったユーモア表現、シュールレアリスム、トロンプルイユ、見立て、誇張・デフォルメ、余韻やロマンティシズムを生むユーモア)に沿って、幅広い「ユーモア表現」のポスターを詳しく分析しています。
*表紙もサヴィニャックの《「ウット毛糸」原画》(1949年)により、本展では、雑誌とともに展示中。

[展覧会図録]


『ヨーロッパのポスター:その源流から現代まで』 京都国立近代美術館, 1978年
*会期・会場:1978年10月1日(日)~11月19日(日), 京都国立近代美術館|1978年11月29日(水)~1979年1月21日(日), 東京国立近代美術館
*パリ・ポスター美術館の所蔵品によるフランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、スイス、オーストリア、イタリア、スペイン、ポーランド、イギリス、アメリカのポスター266点で構成。
*1978年に開館したパリ・ポスター美術館の全面的な協力を得て、同じ年に日本の国立美術館で開催されたこと、近代ポスターが成立する以前1750年代から現代(1970年代)まで網羅した出品内容、そのなかにサヴィニャック作品8点が含まれる点、さらに展覧会図録の書籍化(
『フランスのポスター美術』 講談社, 1979年)において、非常に意義深い。
*図録テキストは、ジュヌヴィエーヴ・ガエタン=ビコン(パリ・ポスター美術館館長)、アラン・ヴェーユ(同・学芸部長)が寄稿。また、作家・作品解説は、仏日両館の学芸員が分担執筆。

 

『国際 “笑” ポスターSHOW』 サントリーミュージアム[天保山], 1999年
*会期・会場:1999年7月7日(水)~9月5日(日), サントリーミュージアム[天保山]
*サヴィニャック作品27点(すべてポスター)を中心に、世界の作家による1940年代~1990年代のポスター137点で構成。
*「ユーモア」をメイン・テーマとし、図録テキストは、総合監修者の福田繁雄(グラフィック・デザイナー)が寄稿。

『アフィッシュ・フランセーズ―現代フランスポスター50年の歩み』 アフィッシュ・フランセーズ展実行委員会, 2000年
*会期・会場:2000年8月22日(火)~9月17日(日), ヒルサイドフォーラム
*サヴィニャック作品15点(すべてポスター)を含み、フランスの作家による1940年代~1990年代のポスター102点で構成。
*多様な表現・技法のポスターを集め、図録テキストは、監修者のアラン・ヴェイユ(ポスター史家)、福田繁雄(グラフィック・デザイナー)が寄稿。

[教材]

  

『宇都宮美術館デザイン・キット deli.』[ワークシート&テキスト編], 宇都宮美術館, 2005年
*収蔵作品の約3分の2を占める「デザイン」について、この領域の作品を活用する「美術館教育プログラムの模索+教材開発」プロジェクトの成果物。28点のデザイン作品によるカード式のパンフレットで、着る、坐る、食べる、使う、見る、遊ぶ、識る、伝える、という8つのテーマに沿って、「デザインとは何か」を「Q&A」方式で分かりやすく具体的に解説しています。
*サヴィニャックについては、「伝える」(ヴィジュアル・コミュニケーション)の項目で取り上げ、《ビック:走る、走る、ビック・ボールペンが走る》(1951年。宇都宮美術館の作品タイトルは《ビックのボールペン 滑るようになめらか》)の画像(全2ページ)、「走る人やボールペンは、なぜ本物の写真ではないのでしょうか。さし絵でしか伝えることができないものは、何だと思いますか。」の問い掛けと、これに対する解説で紹介。
*コミュニケーション・デザインに関しては、「識る」(グラフィック・テクニック)の項目のなかで、ポスターの印刷技法(平版・凹版・孔版・凸版)も図解しています。

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